【科学論文が警告】作業中の音楽は作業効率を下げる【対処法も紹介】

作業中の音楽は、

・集中力を下げる
・文章読み(読書)を妨げる
・創造性を下げる

パソコン作業や本を読むときなど、仕事や作業をするときに音楽(BGM)を流している方も多いと思います。

音楽を聴いていると集中力が上がり、気分が高まってモチベーションが下がらず、疲労感も感じにくくなる気がするので、むしろ音楽がないと作業や読書が捗らないと思っている方もいるでしょう。

しかし実は、音楽の使い方によっては、音楽は集中力や創造性を下げて、逆に作業効率を大幅にダウンさせてしまうんです。

今回は論文を基に、作業中の音楽(BGM)が良くない理由と、音楽の効果的な活用法(対処法)をご紹介します。

集中力を下げる

10人の被験者に「テンポの速い曲」「ゆったりした曲」「環境音」「無音」の4種類のBGMを流しながら認知テストをした実験によると。


すべての認知課題において、BGM(音楽または環境音)があると、無音に比べてパフォーマンスが低下した。

(中略)

「テンポの速い曲」があると「ゆったりした曲」や「無音」に比べてすべての課題の成績が悪くなり、「環境音」があるとすべての課題で「無音」より悪くなり、「環境音」があると4つの課題のうち3つで「ゆったりした曲」より悪くなった。

出典:The effect of background music and background noise on the task performance of introverts and extraverts

これを作業効率に悪影響があった順に並べると、

テンポの速い曲>環境音ゆったりした曲>無音

となり、「無音」がベストだという研究結果が出ました。

この結果は、被験者の性格(外向的・内向的)、音楽や勉強の好みを考慮しても出ました。

音楽を聴きながら作業をするのは、例えるならマンガを読みながらパソコン作業をする感じ。

気分は高まって楽しいけれど、手と意識が持っていかれるので作業効率が落ちて、「こんなに時間経ったのに思ったより進んでないな」と感じるイメージです。

文章読み(読書)を妨げる

複数の論文を精査した論文(メタ分析)によると、


BGMを使用した場合と使用しなかった場合を比較した研究によると、BGMは読書プロセスを妨げ、記憶力に若干の悪影響を及ぼすが、感情的反応に良い影響を与え、スポーツの成果を向上させることがわかった。

出典:The impact of background music on adult listeners: A meta-analysis

BGMが流れていると、読むスピードが遅くなったり、読解力や本の内容を覚えることに悪影響があるようです。

ただし、気分を高揚させたりスポーツの成果を上げたりする効果はあり、BGMのテンポによってスポーツ活動のテンポに影響を与えてくれるので、スポーツのテンポに合った曲を流すのは良いでしょう。

創造性を下げる

ランカスター大学などの実験で、男女30人を4つのグループに分け、

・歌詞をよく知らない曲
・歌詞がない曲
・馴染みのある曲
・無音

この4パターンのBGMを流しながら創造力(創造性)を試すテスト(遠隔性連想検査)を受けさせた実験では、


いずれも、無音と比較して、テストの成績を有意に低下させた。

さらに、馴染みのある曲では、BGMがポジティブな気分を誘発するかどうかや、参加者が通常音楽のある状態で勉強しているかどうかにかかわらず、テストの成績が低下することが示された。

出典:Background Music Stints Creativity:Evidence from Compound Remote Associate Tasks

歌詞のある・なし、気分が上がる曲にかかわらず、どんなタイプのBGMでもテストの成績(創造性)を下げるという結果が出ました。

音楽は歌詞や音自体に情報量がたくさんあるせいで、言語を扱う作業や創造性が必要な作業(複数の問題から1つの解答を導き出す収束思考)とは相性が悪いので避けるのが無難でしょう。

音楽のオススメ活用法

論文はすべて音楽での調査でしたが、環境音も含まれるので、オンラインなどで人の話(会話)を聞きながら作業をするの(オーディオブックや聞き専)も同じと考えられます。

音楽(BGM)や環境音(自然音やオーディオブックなど)は、集中力も創造力も必要ない作業(活動)をするときに活用するのがオススメ。

掃除・洗濯・調理などの家事、運動やスポーツであれば、作業を邪魔せず気分を盛り上げてくれるので問題ありません。

また、「作業を行う前」「休憩時間」に音楽を聴くのはOKです。

論文でも、


課題遂行前にBGMを聴くことで、注意や記憶などの認知プロセスが、覚醒度や肯定的な気分を高めるというメカニズムによって向上することが研究で示唆されている。

出典:Can preference for background music mediate the irrelevant sound effect?

と、覚醒度や気分が上がることで集中力や記憶力を高めてくれるので、パソコン作業や本を読む前や、休憩時間の気分転換に音楽を聴いてから取り掛かるのはオススメです。

また、自分にとって楽しい曲を聴いてリラックスすることで、拡散思考(1つの問題に対して複数の解答を思いつく能力。アイデア出し)には良い影響を与えるという論文(出典:Happy creativity: Listening to happy music facilitates divergent thinking)もあるので、

・アイデア出しの前に楽しい曲で気分をリラックスさせる

・思考が拡散したところで無音にしてアイデアを考える

など、思考する状況(収束思考か拡散思考か)によって使い分けるのも良いでしょう。

その場合、ノイズキャンセリング(環境音カット)機能の付いたイヤホンやヘッドフォンを活用して、作業前に音楽を聴き、作業中は音楽を流さずにノイズキャンセリング機能で環境音を遮音して作業をするのがオススメです。

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