新年や新学期、月初めや週初めなど、何かのキッカケや必要性に迫られて目標を立てて始める方も多い世の中。
筋トレ、ダイエット、副業、読書、資格取得など、様々な夢や目標の達成を目指して、時間を作ったり友達やSNSに宣言した方もいるでしょう。
しかし、目標を立てても思うように実行できなかったり、挫折してしまう方が多いのも現実。
気づいたら夢や目標達成を先延ばしにして、「なんで続かないんだろう……」と思わず溜め息、なんてこともあると思います。
そこで今回は、目標達成率を劇的に上げる「誘引バンドル」の効果と実践法をご紹介します。
誘引バンドルとは
「誘引バンドル」は目標達成や物事の習慣化をしたいときに使える手法で、
「嫌だけどやらなければならないこと」に「大好きなこと」を組み合わせて行動を促すテクニック。
例えば、
・部屋掃除をしながらテレビを見る
・運動や筋トレしながら音楽を聞く
など、行うことはシンプルですが、多数の実験でその効果が認められています。
効果実験
誘引バンドルを行う場合、効果的なのは「場所や状況による物理的な縛りをつけること」
226名の学生を3つのグループに分けた実験で、
【グループ1】(物理的な縛り「アリ」)
ジムに面白いオーディオブックを詰め込んだiPodを置いておき、ジムに行ったときだけ聞ける
【グループ2】(物理的な縛り「ナシ」)
「ジムに行った時だけオーディオブックを聞いてください」と指示する
【グループ3】(物理的な縛り「ナシ」&一時的な報酬)
商品券をあげて、「もっとジムに行ってください」と指示する
この3パターンでどれぐらいジムに行く割合が変化したか調査すると、
【グループ1】は【グループ2】よりも29%も多くジムに行った。
【グループ1】は【グループ3】よりも51%も多くジムに行った。
となり、【グループ1】(物理的な縛り「アリ」)の効果が圧倒的でした。
やり方
誘引バンドルを行うときは、物理的な縛りをつけつつ行うのが効果的です。
しかし、自分ひとりで物理的な縛りを設けても、人間はズルや言い訳をしがちなので、
オススメは「信頼できる友人に、目標達成できなければ、罰を与えることをお願いする方法」
例えば、
・ジムに行かなかったら友人が欲しがっていた物をあげる
・タバコを吸ったら友人に1万円を支払う
・痩せなかったら友人にお気に入りの服を捨ててもらう
など、サボッたり失敗したら「自分が嫌だ」と感じることをしたり、「大好きな物を捨てる」などをする方法です。
シンプルな方法ながら、行動経済学の世界では何度もその効果が証明されています。
これは人間には「損失回避」(得することよりも損することを避けようとする心理)傾向があるためで、この方法は非常に効果が高いと言えます。
具体的な誘引バンドルのやり方としては、
「嫌だけどやらなきゃならないもの」と「大好きなもの」をピックアップ
↓
「嫌だけどやらなきゃならないもの」をやったときだけ「大好きなもの」が手に入る(できる)ようにルールを決める
↓
もし「嫌だけどやらなきゃならないもの」ができなかったときは「大好きなもの」を捨てる(または嫌なことを行う)よう友だちに実行して貰う
もしルール設定してもサボッたり失敗してしまう場合は、「嫌なこと」や「捨てるもの(物)」のレベルを上げる(罰金を5万円にする、テレビを捨てるなど)のも一つの手です。
注意点
目標達成に効果の高い誘引バンドルですが、すべての場面で使えるわけではなく、逆効果になることもあるので注意が必要です。
例えば、
・文章を考える(メールの返信、執筆など)
・アイデアを出す(企画を考える、資料を読むなど)
頭を使う作業には脳の処理機能を多く使うため、音楽やオーディオブックを聴いたり、テレビや動画を見るなどと一緒に行うと、作業効率が大幅に下がるのでやめましょう。
詳しい理由は「【科学論文が警告】作業中の音楽は作業効率を下げる【対処法も紹介】」をご覧ください。
また、誘引バンドルはあくまで自分自身に課すテクニックなので、他人には使えません。
相手が自ら誘引バンドルを行う意思があれば問題ありませんが、やる気がない状態で使うと、嘘やごまかしをする確率が高くなるため、有効的ではありません。
最後に、
誘引バンドルの効果を充分に発揮するには、制限をかけた場所(状況)以外で、「大好きなこと」が行えないようにすることが重要です。
例えば、
健康のために通うスポーツジム(「嫌だけどやらなければならないこと」)で音楽を聴く(「大好きなこと」)
と決めた場合は、自宅や車など別の場所やシチュエーションで音楽を聴く(「大好きなこと」を行う)のは厳禁です。
他の場所やシチュエーションで「大好きなこと」を行ってしまうと、「どうにでもなれ効果(ひとつの失敗のせいで「もうどうでもいいや」と自制しなくなってしまう心理)」が働き、目標を達成するモチベーションがなくなってしまいます。
以上を心がけつつ、自分の達成したい目標がある方は、誘引バンドルを取り入れて活用してみてください。
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