アドバイスは「受けた側」のほうがやる気アップするものだ、と思っている方が多いでしょう。
アドバイスを受けて「実践してみよう!」とやる気満々で行動を始める方もいると思います。
しかし実際は、アドバイスは「受けた側」より「与えた側」のほうが、やる気とモチベーションがアップすることをご存知ですか?
今回は、アドバイスを与える側のやる気アップ効果について、2つの実験を例にご紹介します。
アドバイスの実験
モチベーション研究で有名なシカゴ大学のアイエレット・フィッシュバック博士の調査をご紹介します。
実験では318人の中学生を2グループに分け、
・やる気が出ない年下の生徒にアドバイスの手紙を書く
・教師からモチベーションアップのアドバイスを手紙で貰う
これを週1回のペースで3週間同じ作業を続けたところ。
出典:Dear Abby: Should I Give Advice or Receive It?
年下の生徒にやる気を起こさせるアドバイスをした中学生は、専門家の教師からやる気を起こさせるアドバイスを受けた生徒よりも、翌月の宿題に費やす時間が長かった。
という結果が出ました。
さらに704人の男女に対して行われた、「節約、感情コントロール、ダイエット、就職」という別々のジャンル(タイプ)のモチベーションへ与える影響実験でも、
出典:Dear Abby: Should I Give Advice or Receive It?
専門家の助言を受けた人と比べて、助言を与えた人は、お金を貯めよう、怒りを抑えよう、体重を減らそう、就職しようという意欲が強かった。
と、どちらの調査もアドバイスを「与えた人」のほうが、やる気やモチベーションが高まったいう結果が出ました。
やる気がアップする理由
なぜ、他人にアドバイスを与えることで、やる気やモチベーションがアップするのかと言うと、(下記論文の言い回しは難しいですが)
第一に、助言を求められるだけで、自信が高まることがある。
助言を受けるのではなく、助言をするように頼まれるということは、助言を与える側に、その能力が欠けているのではなく、備わっているということを意味する。第二に、助言を与えるために、助言者は偏った記憶の検索を行う。
助言者は、他者に助言を与えるために、過去の生産的で成功した行動に注目する。
この偏った記憶の走査は、助言者の自信を高める可能性が高い。第三に、助言を与える過程で、助言者は具体的な意図を形成し、具体的な行動計画を打ち出す。
出典:Dear Abby: Should I Give Advice or Receive It?
この両方が動機づけと達成感を高める。
簡単に意訳すると、他人にアドバイスすることで、
①自分に影響力や能力があることを認識できるので自信が湧く
②自分の過去の成功体験を思い出すので自信が湧く
③具体的なイメージをし、どう行動すれば良いか考えることで、やる気と達成意欲が高まる
このように、自信とやる気、達成意欲が湧くようになり、やる気やモチベーションが上がります。
しかしこの現象は、相手の状況によっては逆効果になる場合もあるので注意が必要です。論文でも、
出典:Dear Abby: Should I Give Advice or Receive It?
モチベーションが低いときにアドバイスを受けることは、むしろ有害である可能性があります。
アドバイスを受けることは、有能であるという感覚を損なうため、非難されていると感じることがあります。
やる気やモチベーションが低い人にアドバイスをすると、「自分は能力のないダメ人間なんだ」と相手が自信を失うこともあるので、アドバイスはやる気やモチベーションがある人に対して行いましょう。
オススメのアドバイス法
アドバイスをするのにオススメなのは「同じような目標を持つ人にアドバイスをする」方法。
同じような目標を持つ人にアドバイスをした後は、
「人には偉そうに言ってるのに、自分がやっていないのはおかしい」
「自分も頑張らないと、口だけで行動しない人間だと思われる」
という気持ちが働き、やる気やモチベーションが高まります。
これを「認知的不協和理論」と言い、自分の思考や行動に矛盾があるときに生じる不快感やストレスを軽減させるために、考えや行動を変化させる人間心理です。
これを利用して、同じような目標を持つ人にアドバイスすることで自信とやる気を高めつつ、モチベーションを維持するのがオススメです。
アドバイスできる相手がいない場合は、
「もし友人や同僚が同じ問題で悩んでいたら、自分はどんなアドバイスをするだろうか?」
と自問自答してみるのも一つの手で、自分への自信と観察力を高めることができるので実践してみてください。
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