【論文が警告】少量の酒に健康効果はない。むしろ1杯でも健康に悪影響を与える【科学的な対策法も紹介】

新年会、歓迎会、打ち上げ、忘年会、はたまた仕事帰りの一杯や自宅で晩酌など、様々な場面でお酒を飲む機会はあるでしょう。

多くの方が「1日1~2杯程度のお酒なら健康に良い」と聞いたことがあると思います。

しかし実際は、お酒に健康効果はほとんどなく、たった1杯のお酒でも健康や人生に悪影響を与えるという真実を知っている方は少ないと思います。

そこで今回は、お酒が心と身体の健康に与える影響と、お酒を断つ科学的な禁酒テクニックをご紹介します。

お酒に健康効果はない

87件のアルコールと健康に関する論文を分析し、3,998,626人を対象にした論文では、


より質の高いバイアスのない研究の分析でも、少量のアルコール飲酒者の死亡リスクの減少は発見できませんでした。

出典:Do “Moderate” Drinkers Have Reduced Mortality Risk? A Systematic Review and Meta-Analysis of Alcohol Consumption and All-Cause Mortality

こういった結果が出る理由としては、

・1日に少量のお酒を飲む人
・現在、お酒を飲んでいない人

この2つの被験者を比べて、「お酒は少量なら健康に問題がない」や「健康効果がある」としている場合が数多くの研究でありました。

しかし実際は、「現在、お酒を飲んでいない人」の中には、過度の飲酒で健康を損なって、お酒そのものが飲めないレベルに不健康な人も含まれている研究が多くありました。

すると統計的には、お酒を少量でも飲んでいる人のほうが健康で長生き、という誤解を生じさせる結果になりました。

この統計的なミスを修正すると、お酒の健康効果はほとんど無くなり、

「お酒を飲まない人」「飲んでも週に1杯以下」の人がもっとも長生きする。

という結果になりました。

お酒はたった1杯でも悪影響を与える

また、1990年〜2016年の間に行われた694件の研究データ、世界195ヵ国から集めた、お酒と病気や事故に関する研究では、


2016年において、全世界の男性39%、女性25%が日常的に飲酒し、年間280万人が飲酒に起因して死亡していた。

飲酒は男性6.8%、女性2.2%の死亡に関係していた。

年代別に見ると、15-49歳では飲酒は男性12.2%、女性3.8%の死亡に関係しており、結核、交通事故および自傷との関連が強かった。

同様に、50歳以上では男性18.9%、女性27.1%の死亡に関係し、がん死亡との関連が強かった。

飲酒量増加が関連疾病(動脈硬化やがん等)につながる相対リスクへの影響は飲酒量と比例し、リスクが最小の飲酒量は「ゼロ」であることが示された。

出典:Alcohol use and burden for 195 countries and territories, 1990–2016: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016

健康に良い影響を与えるとする論文もありますが、先程も示したとおり、多くが「データにお酒で健康を害した人も含まれている」という事実もあります。

仮にお酒に健康メリットがあったとしても、それを遥かに上回る健康デメリットが発生するので、結果的には「飲まない方が、心も身体も健康を保てる可能性が非常に高い」と言えるでしょう。

状況や場面によってどうしてもお酒を飲む機会があるときは、気分を解す程度の量に抑え、日常的に飲む機会を作らないようにするのがオススメです。

禁酒・減酒する方法

中には飲んで帰る方や自宅で飲む習慣があり、本当は飲酒習慣を止めたいと思っている方もいるでしょう。

しかし、日常的に飲酒する習慣がある方が突然止めようと実践しても、心理的になかなか出来ないのが現実です。

それでも、「禁酒(断酒)したい」「飲む量や日数を減らしたい」という方に、心理療法の現場でも使われる「STOP法」をご紹介します。

「マインドフルネス ストレス低減法」という心理療法で使われる手法の一つで、「STOP法」はマインドフルネスに必要なステップをまとめたものです。

言葉の意味は頭文字を表しており、

stop(止まる)
take a breath(息を吸う)
observe(観察する)
proceed(進む)

の4つの手順で構成されています。

一般的には怒りや不安などのストレスに対して使用する手法ですが、禁酒にも応用できるので、お酒を飲みたくなったとき、お酒を飲んでしまったときに試してみてください。

stop 今やっていることを止める

ファーストステップは、自分の考えや行動を一時停止することに注力します。

顧客の理不尽な要求にストレスを感じたときや、自分のミスが見つかってパニックを起こしそうになったときなど、その瞬間にやっている行動や思考を無理矢理でも構わないので意識して止めましょう。

最初は怒りや混乱などの感情や思考を完全には止められないでしょう。

しかし、数秒だけでも良いので、止めようと努力してみてください。

ポイントは、頭の中で思考を抑えつけたり考えないようにするのではなく、「注意や意識を少しだけ他のことに逸らす」こと。

近くにいる別の人に意識を向けるでも良し、直前まで行っていた内容を思い返すでも良し。

とにかく、怒りや混乱が落ち着くように意識を感情や思考以外に向けて、意識して「stop」してみてください。

take a breath 呼吸する

セカンドステップは、自分の感情や思考から注意を逸らしたら、自分の呼吸にだけ意識を向けます。

5~10秒程度で良いので、自分の呼吸の感覚に注意を払い、息を吸ったり吐いたりしている状態に集中してみましょう。

意識を呼吸に向けることで、さらに落ち着きを取り戻し、冷静に考えられるようになっていきます。

observe 観察する

サードステップは、自分の現在の状態や感覚を観察します。

身体
・身体にどんな変化が起きているか
・身体のどこかに痛みを感じたり、筋肉の緊張はないか
・周囲には何が見え、何が聞こえているか

感情
・自分はどんな感情を抱いているか
・抱いた感情は、怒り、悲しみ、混乱、恨みなど、どんな感情か

精神
・自分は何を考えているか
・その考えに対して、自分はどう思っているか

このように、心と身体の状態に意識を向けることで、現在の状態を確認し、起こったストレスや状況が、どんな影響を自分に及ぼしているか知ることが大切です。

proceed 進む

ラストステップは、「止める」「呼吸する」「観察する」の3ステップを行ったことによって、自分が今後どう進めば良いかを考えます。

例えば、上司や顧客に対してストレスを感じたとしたら、

意識を逸らす

呼吸に意識を向ける

胸が熱い感じがする、怒りでイライラする、反論したい


など、状況や相手によって様々な心と身体の状態が把握できると思います。

その状態に対して、意識を逸らし、呼吸に注意を向けて落ち着きを取り戻したあなたが「どう対処すれば最善か」を考えることによって、少しずつでも前へ進み改善していくことができます。

これを禁酒に応用する場合は、お酒を飲みたくなったり、飲んでしまったときに、

意識を逸らす

呼吸に意識を向ける

胃にムカつき感がある、なんでまたお酒を飲んでしまったのだろうと虚しくなる、一時的な高揚感はあるけど、酔いがさめたらいつも落ち込むよなぁ

自分はストレスを感じたときにお酒を飲んでいるから、ストレスを減らすように意識してみよう
お酒は一時的には気分が良くなるけれど、健康に悪いしお金も時間も無駄にするから、お酒コーナーに行かないようにしよう

など、自分なりの考えで構わないので、STOP法を実践してみてください。

STOP法のそれぞれの意味を覚えるのが難しい場合は、信号機を思い出して、

「赤(行動や思考を止める)、黄(注意して観察する)、青(どう進めるか考える)」

と置き換えて覚えてもOKです。

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